新型コロナウイルスの流行で「人工呼吸器」という言葉をよくニュースで耳にしますね。


はい。一体どんな機械なのか、使用する目的とその副作用(合併症)について解説させて頂きますね。
人工呼吸器とは?
呼吸をサポートする機械です。
呼吸って、
- 空気を吸うこと と
- 息をはくこと ですよね。
- 吸うときに酸素を体に取り込みます
- はくときに二酸化炭素を体から出します
自分の力で呼吸するのが辛かったり、できないときに、
人工的に呼吸をサポートして、
- 不足した酸素を体に取り込んだり
- 蓄積した二酸化炭素を体から出す、機械です。

人工呼吸器の目的は、自分の力で行っている呼吸(自発呼吸)が体にどんな影響を与えているかを考えると見えてきそうです。
人工呼吸器の目的
② 適正換気量の維持
③ 呼吸仕事量の軽減
人工呼吸器の目的とは何か?
上記の3つが鉄板の三本柱です。
人工呼吸器に関する参考書のほとんどが上記の表現をします。
他にも詳細には挙げられますが、この3つがメインです。
① 自力では吸うときに酸素を体に取り込むのが十分でない場合
② 自力では、はくときに二酸化炭素を体から出すのが十分でない場合
③ 先ほどから“自力では”という表現をしていますが、われわれは無意識でも呼吸できますので気付きにくいのですが、空気が勝手に口から(肺に)入ってくるから吸っているわけではありません。
一方で、われわれは意識的にも呼吸することができます。
一回にたくさん吸って深呼吸したり、何回も速く吸って頻呼吸したりできます。
つまり、自分の横隔膜など筋肉の力で肺を広げて、空気を口から取り込んでいます。
空気掃除機です。
文字通り空気を「吸って」いるのです。
この生理的に自然と行っている呼吸のことを、
「自発呼吸」といいます。
“自分発信の呼吸“と覚えましょう。笑
普段行っているこの自発呼吸は、横隔膜などの筋肉を使っていますので、筋肉が疲労しているときや難病で筋肉を上手に動かせないときなどにも人工呼吸器を使います。

自発呼吸は掃除機のように「陰圧」の力で空気を吸っているのに対し、人工呼吸器は逆の「陽圧」の力で空気を吸わせているのが主流です。自然な呼吸ではないので副作用(合併症)がありますよ。
人工呼吸器の合併症

自発呼吸は陰圧の呼吸であるのに対して、
人工呼吸器は陽圧の力で呼吸させるのが主流です。
陰圧の人工呼吸器も存在しますが、
陽圧の方が、生命の危機には救命率が高かった歴史があるなど、
現在では陽圧の人工呼吸器が一般的です。
陽圧で肺を広げるイメージは、
まさに風船を膨らますイメージです。
風船を膨らまし続けるとやがて割れます。
これが人体だと気胸など肺が破けるような状態を起こします。
また胸の中という限られたスペースで風船が膨らむと、
他の臓器を圧迫します。
すると血流が悪くなったり、尿が出にくくなったりします。
よって、人工呼吸器は装着すると多くの合併症があります。
呼吸状態の良し悪しを見極めて、
サポートがもう必要なくなれば、直ちに使用を終えるのがポイントです。

人工呼吸器の種類によって、短期的な使用(急性期用)や長期的な使用(慢性期)に向いている機種があるので、病院では患者さんの状態・疾患(人工呼吸器を使用する目的)に応じて、数ある種類の中から適切な機種を選択して使っていますよ。
まとめ

✔人工呼吸器を使用する目的は、①酸素化の改善 ②適正換気量の維持 ③呼吸仕事量の軽減です。
✔人工呼吸器の合併症は、呼吸器系は気胸など、循環器系は血流悪化など、泌尿器系には尿量減少など多々あるため、急性肺炎など一時的に人工呼吸器を装着している場合は呼吸状態が改善し次第、早期離脱がポイントです。
I appreciate your reading the article all the way through.