
新型コロナウイルスに感染して、もし重症化した場合、人工呼吸器を使うことがあります。
数が足りなくて米国で増産しましたよね?作りすぎて日本が購うとか。


”使える人工呼吸器なら”良いニュースに聞こえますね。
新型コロナウイルスに対してどんな人工呼吸器が使用されるのですか?

新型コロナウイルスで使用される人工呼吸器の特徴
クリティカルケアクラスの人工呼吸器を使用します。
クリティカルケアクラスの人工呼吸器は、
ハイスペックでどんな呼吸状態でも対応できるタイプです。
患者さんとの呼吸のタイミングを合わせることにこだわった機能があったり、
患者さんの呼吸パターンに合わせてリアルタイムに自動で変化する機能があったり…etc.
メーカーによってコンセプトの違いから色んな付加機能がありますが、
基本的にどのメーカーのクリティカルケアに分類されるクラスの人工呼吸器も、
基礎的に性能が高いです。
ただ、ハイスペックで高機能だからという理由だけではありません。
感染対策という面でも有用だからです。
※クリティカルケアクラス以外の人工呼吸器を使用することイコール間違いではありません。基本、第一選択という意味です。
新型コロナウイルス肺炎患者に使用する人工呼吸器の取り扱い
「新型コロナウイルス肺炎患者に使用する人工呼吸器等の取り扱いについて-医療機器を介した感染を防止する観点から-Ver.1.0」
という文書が2020年3月27日付けで
一般社団法人 日本呼吸療法医学会,
公益社団法人 日本臨床工学技士会から
発表されています。
4月6日にVer.2.0、4月19日にVer.2.2が出ています。
Web上で閲覧できます。
以下は治療に関連する注意事項の一部引用です。
2.1 人工呼吸器の構造や機能について
1) 圧縮空気に用いる人工呼吸器は、配管端末機(アウトレット)に接続すること。
2) 室内気を圧縮・送風する機構を持つ人工呼吸器は、エアインテークフィルタがHEPAフィルタ等のウイルス除去性能に優れている機種を選択すること。
https://www.jsicm.org/news/upload/COVID-19-ventilator-V2.2.pdf新型コロナウイルス肺炎患者に使用する人工呼吸器等の取り扱いについて-医療機器を介した感染を防止する観点から-Ver.2.2
感染拡大防止の観点から推奨される人工呼吸器
- 病院内用の圧力は医療ガス配管端末器を利用するタイプ。
- 在宅用の機器本体で圧力を作り出すタイプならウイルスを除去するフィルタの付いた機種。
主に在宅用の人工呼吸器に用いられる機器本体で圧力を作り出すタイプは、室内の空気を取り込んで送気するため、人工呼吸器の内部がウイルスで汚染され、汚染されたガスを患者さんに送ってしまうリスク、また周囲に曝露してしまうリスクがある。
臨床現場の実際(2020年7月時点)
- 全国すべての病院の病室に医療ガス配管端末器の設備が整っているわけではない。
- 既存の在宅用人工呼吸器でHEPAフィルタ(ウイルス除去フィルタ)が標準装備されている機種は少数。(2020年7月現在で対応できる機種は増えてきてはいます)
【私的な意見】

テレビなどで新型コロナウイルスの報道で見る人工呼吸器のほとんどは病院内用です。重症化した場合には必要で、機械は足りないより潤っていた方が良いのは間違いないですが、専門医を急速に増やすことは難しいですし、病院内用の人工呼吸器は使用する環境が限られますので、無闇に増産するのは得策ではないです。また中等度の状態から重症化させないように治療をすることが患者さんの負担を考えても重要ですし、新型コロナウイルスの病態の特徴は重症化するのが急であることからもHEPAフィルタ搭載の在宅用人工呼吸器(ブロア式)を広く配備しておいた方が呼吸状態が悪化したときの早い段階で治療が開始できるのではないかと思います。
まとめ

- 新型コロナウイルスで使用される人工呼吸器は、主にクリティカルケアクラスの人工呼吸器です。
- 新型コロナウイルス肺炎患者に一般病棟や在宅用の人工呼吸器が使用されるときは、ウイルス除去フィルタの付いた機種が選択されます。
補足…病院内用と在宅用とを分ける公式な基準があるわけではありません。
I appreciate your reading the article all the way through.