書類作成に時間がかかり、委員会の議題に挙げるまで1ヶ月遅れてしまったが、無事に全会一致で承認を得ることができた。
ホッと一安心というか、なんというか。フローアナライザーがあれば人工呼吸器の点検ができる。ただ、点検業務はお金にならない。直接的に収益が上がるわけではない。その点が弱い。
臨床工学技士として透析業務や循環器系など色々と稼ぎどころの業務もあれば、全体として回収が見込めることの提示ができる。呼吸療法だけだと改めて稼ぐところではないのがわかる。故に専従している臨床工学技士は少ない。
診療報酬では医療機器安全管理料がある。月100点なのだが、たかが100点といわれるし、私自身もっと点数が上がらないのかと思う。この点数が付くまでが大変だったのはわかっているが、そろそろもう一歩前進してもいい頃だ。
そんな回収が見込めない状況の機械を買うには、自部署だけの問題解決ではないと説明する他ない。それを序盤に話す。
当院では蘇生バッグの滅菌後の組み立てや機能点検ができていなかった。これをICT(感染対策チーム)から相談されていて、点検治具がないためどうするかを保留にしていた。
組み立てたら、きちんと動作するのか、漏れがないのか、部品に不備がないのか、換気量が確保できるのかなど点検しなければ、使用可とできない。
換気量だけ測るならハロースケールだけで十分なのだが、小児用の蘇生バッグは規定圧で圧が抜けるようになっているので圧力も測ることが望ましい。フローアナライザーなら、換気量や圧力を測ることができる。
実際に蘇生バッグの組み立て後にフローアナライザーで点検している病院があるかはわからないけれど、フローアナライザーの必要性の理由には使える笑
人工呼吸器の点検の必要性を訴えるには、フローアナライザーがないといけない理由、今までできていなかったことの問題解決への提案をする。メーカーの点検との違いである。
メーカー点検は、器械に異常がないか、メーカー規定の基準を満たしているかをチェックする。
臨床工学技士の点検は、実際に使う上で、医療機器が本来のパフォーマンスを発揮できるのか、その有効性や安全性をチェックする。この差は大きい。
人工呼吸器においていえば、呼吸回路を含めた点検を行うかどうかだ。人工呼吸器は呼吸回路が大事である。どれくらい大事なのかは、
以前著書に書いた通り、設定は回路構成に依存するし、普段の管理においても回路の状態によって安全性が危ぶまれる。人工呼吸器に関連する事故原因の過半数が呼吸回路だ。今年の3月にもPMDA医療安全情報にて注意喚起の案内があった。
私は、会議の場に人工呼吸器を持ち込み、2022年3月のPMDA医療安全情報に記載されていた事例の再現を実演してみた。対策として、使用する前にきちんと点検することが書かれていたので丁度良かった。最新でもあったので説明に利用できるとも思った。
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後編に続く。