【基礎】人工呼吸器 医療安全

加温加湿器と人工鼻の使い分け【特徴と禁忌】

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加湿器は、電源を入れ忘れてないか心配になっちゃいますね。みんな人工鼻じゃダメなんですか?

ゆー
ゆー
ユウ
ユウ

得意・不得意があるので、使い分けが大事だと思いますね。

はーい。併用は危険ですよね!

ゆー
ゆー
ユウ
ユウ

はい。さすがです☆

加温加湿器と人工鼻の使い分け

畢竟するに、
加温加湿器は加湿効果があり長時間の使用に向いている、
人工鼻は保湿効果があり短時間の使用に向いている。
そして両者は、
併用はしてはいけない。

加温加湿器と人工鼻の併用は
禁忌です。

PMDAより、2009年1月に注意喚起の文書が出ています。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は、平成13年に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画を受けて、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構及び財団法人医療機器センターの一部の業務を統合し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて平成16年4月1日に設立され、業務を開始しました。
 PMDAは、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して、迅速な救済を図り(健康被害救済)、医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し(承認審査)、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う(安全対策)ことを通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としています。

引用:https://www.pmda.go.jp/about-pmda/outline/0001.html

人工鼻は吸湿紙で作られているので、
加温加湿器による高度な湿度で、
目詰まりを起こします

目詰まりを起こすと閉塞状態になるので、
人工呼吸器からの送気ガスが遮断されます

送気ガスが肺まで届かないため、
呼吸のサポートが行われず低換気状態となり、
大変に危険です。

それぞれの特徴を理解して、
使い分けることが重要です。

加温加湿器

そもそも人は空気を吸うと、
上気道で空気を温めて、
湿度上げてから肺に取り込みます。

生理的な加湿機能を持っています。

乾燥したまま空気を取り込むと、
さまざま悪影響があります。

『乾燥ガスがそのまま気管に入っていくと起こりうる呼吸器系の障害』
・気道粘膜の乾燥
・気道粘膜の繊毛運動の低下・障害
・気道粘膜の損傷、乾燥
・痰の乾燥、固形化
・気道・気管チューブの痰による閉塞
・無気肺
・肺炎

引用:磨田 裕, 加温加湿と気道管理 人工気道での加温加湿をめぐる諸問題, 人工呼吸 第27巻 第1号 57〜63頁, (2010年)

よって、人工呼吸療法は、
加温加湿器という
別の機械とセットで行います。

加温加湿には、
2種類ありますが、
現在では、
加温加湿チャンバーという
お釜に水を張って、
温めて蒸気を出す、
「パスオーバー型」が一般的です。

鍋でお湯を沸かして、
その湯気を利用する感じです。

もう一つは、
「バブルディフュージョン型」
というタイプがありますが、
現在では、ほぼ利用されていません。

加温加湿器の種類

加温加湿器の種類は、3つに大別されます。

①加温加湿チャンバーだけ温めるタイプ
②加温加湿チャンバーと熱線入り呼吸回路を温めるタイプ
③加温加湿チャンバーと熱線入り呼吸回路を温めて、
熱線入り呼吸回路の温度を計測しながら温度調整ができるタイプ

①は、NPPVのような高度な加湿を必要としない場合によく使われます。
③は、IPPVのような高度な加湿を必要とする場合によく使われます。
②は、その中間でNPPVとIPPVで使用されます。

専用の呼吸回路を用いて
加湿調節をするような
特殊なタイプも使用されてきていますが、
主流は、上記の3タイプに分けられます。

加温加湿の評価指標(使用中の点検)

加湿の評価の指標として、
使用中の点検で行うことは、

加温加湿器本体や呼吸回路に
手で触れて
温度(湿度)を確認することです。

高温であれば、空焚き
低温であれば、電源スイッチの入れ忘れ(の予防)
のチェックが出来ます。

臨床における適切な加温加湿の評価指標は、

  1. 喀痰が柔らかくなっていること
  2. 吸気回路の患者側末端回路付近での温度モニタが32~37℃と適温であること
  3. 吸気回路末端付近で内面に結露していること
  4. 気管チューブ内壁に結露、水滴があること
  5. 吸引カテーテルが気管チューブにスムーズに入ること

(引用:磨田裕「人工鼻フィルターの臨床使用の実際 人工呼吸器中の加温加湿ー加温加湿器と人工鼻」, ーInspiration No5, エム・イー・タイムズ, 2007)

になります。また、

トラブルを未然に防止するために
厚生労働省から
「生命維持管理装置である人工呼吸器に関する医療事故防止対策について」(医薬発第248号, 2001.3.27)の通知があります。

この通知では、
「生体情報モニターの併用について」
「人工呼吸器の適切な設定, 操作等を促すための対策について」
「保守点検の適切な実施を促すための対策について」

3点について述べられています。

その中の
保守点検、
使用中点検、
呼吸回路・加温加湿器の
チェクリストの項目です。

点検項目 内容
呼吸回路の確認 呼吸回路のチューブやコネクター類の接続がしっかりしており、ひび割れや破損がなく、リークがないこと。
加温加湿器の動作 設定温度や湿度で安定していること。滅菌蒸留水の補給を要する機種では加湿チャンバー内の水位をチェックすること。人工鼻の場合、交換時期に備えて新しいものを用意する。
呼吸回路内の過剰水分の排出 呼吸回路内に水の貯留などが見られる時、回路内ウォータートラップからこれらを排出する。必要であれば、呼気弁も点検すること。
引用:厚生労働省医薬局長「生命維持管理装置である人工呼吸器に関する医療事故防止対策について」の通知(医薬発第248号)

人工鼻

人工鼻は、
患者さん自身の呼気中に含まれる
熱や水蒸気を蓄えて、
次の吸気に水分を与えるものです。

高度な加湿の機能はありません。

理想的な吸気ガスより低い程度です。
(性能:絶対湿度が約30mg/L程)

急性期など短期間の使用や、
搬送時などに向いています。

人工鼻のサイズ選定

人工鼻は、使用するサイズが重要です。

人工鼻のサイズが大きいと、
吸湿紙の容量が多くなります。

吸湿できる水分が多くなりますが、
同時に、
死腔(デッドスペース)が
増えることにもなります。

また、
二酸化炭素を含んだ呼気ガスの
再呼吸が多くなることにもなります。

つまり、
患者さんの一回換気量に合った、
人工鼻の大きさを選定する
ことが大事です。

人工鼻の禁忌事項

米国の呼吸療法学会AARCより
人工鼻使用の禁忌について
ガイドラインが出ています。

1喀痰が粘稠、血性分泌物のある患者分泌物により気管チューブ閉塞のリスクが増加するため
2呼気一回換気量が吸気時の70%以下のとき保温保湿機能が減少するため
3体温32℃以下の患者温度が低いと相対湿度が低くなるため
4自発呼吸分時換気量が10L/分以上の患者加湿機能が不足するため
5ネブライザーを使用する場合薬剤により目詰まりするため

まとめ

  加温加湿器 人工鼻
加温加湿の性能 高い。吸気側の回路内にヒートワイヤーを設置することで最も加温加湿効率が良くなる 一般的には問題ない。呼気の温度と湿度を再利用する
最適な患者群 喀痰が粘稠で多い。低体温症 在宅、搬送時、短期
回路接続 接続部位が多い。(温度プローブも含めて) 簡易的
結露 吸気側と呼気側の両方に溜まる。
結露の貯留によるトリガー不良など人工呼吸器と患者の同調性低下が起こる。
ほとんど溜まらない。
人工鼻と気管チューブの間に少量付くのみ。
注意点 空焚きによる高温ガス吸入での気道熱傷
一時離脱後の電源の入れ忘れ、誤接続
挿管モードとマスクモードの設定ミス
人工鼻と併用禁忌
フィルター部に分泌物が多量に付着して閉塞することによる換気不良や窒息
加温加湿器と併用禁忌
参考文献:「人工呼吸器に強くなる」, 編集/讃井將満, 大庭祐二, 羊土社

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