
2020年8月24日の朝日新聞の一面が「特別支援学校、開校相次ぐ 深刻な教室不足」でしたね。
新聞読むんですね笑


昨年5月の文科省の調査では、全国で計3162教室が不足していたらしいです。有識者会議は支援学校が最低限備えるべき施設などの設置基準をつくるよう求め、文科省が検討中とのことですよ。
基準つくるの大変そう。現状どんな感じなんですかね?

在宅で人工呼吸器を使用する児は増えている

医療的ケアが必要な児、慢性的に人工呼吸器を使用する重症心身障害者(運動機能と知的機能が重度に重複して障害をもつ)の人数は増加傾向にあります。
下記グラフは文部科学省作成の資料より一部引用と参考に作成したものです。


年々、児童生徒数は増え続け、それに伴い看護師数と教職員数も増えています。
人工呼吸器の使用者数も増えているのが分かります。
学校における医療的ケアとして、医療資格者でなくても5つの特定行為に限って研修を修了して都道府県知事に認定された場合に「認定特定行為業務従事者」として一定の条件下で行うことができるようになっています。
現状の特定行為は吸引と栄養に関する業務であり、人工呼吸器に関する事項は特記して含まれていませんが、緊急性が高い部分において追加されるなど今後の状況次第で変化してゆくことが予想されます。
医療的ケア児が学校に通うには保護者の付き添いが必要です。
参考資料(「学校における医療的ケアの現状と課題」, 高田哲、山下裕史朗, 学会誌「脳と発達」|一般社団法人 日本小児神経学会, 2018)によると、
平成28年5月1日調査の「公立特別支援学校における医療的ケアを必要とする幼児児童生徒の学校生活及び登下校における保護者等の付き添いに関する実態調査」の結果で、
通学生5,357名のうち保護者等が付き添っている人数は3,523名(65.8%)であり、学校生活で日常的付き添いの週当たり平均日数は、1~5日が各々全体4割弱、登下校も保護者等平均付き添い回数平均10回以上が全体の5割弱であったことを踏まえて、
保護者が学校生活で付添理由に「人工呼吸器の管理」が最も多く挙げられていることに、教育委員会判断として、一律に人工呼吸器管理を保護者対応とし、学校配置看護師も対応しないとしている場合もあるため、個別に対応可能性を検討すること、など。
これら柔軟に対応するよう文科省より周知されています。
東京都では、2020年より付き添いなしでも特別支援学校に通学することができるようになりました。
【外部リンク】
【都道府県によって異なる!?】小学校に通うことが困難な医療的ケア児
千葉県ではすでに保護者の校内待機なしの学校教育を受け入れています。
他県においても取り組まれています。
人工呼吸器管理は、状態が安定していれば、
特に専門的な介入は求められません。
トラブル時や移動などのアクションが起きたときの対応が求められます。
これらは人工呼吸器の基礎知識はもちろん必要と考えますが、
部分的に一つずつトレーニングを重ねることで対応できることです。
医療機関による研修を定期的に開催してスキルを学ぶ機会を設けること、
そのようなトレーニングプログラムを組み、実施していくことが重要です。
すでに地域によっては取り組まれています。

先日、私も某県の特別支援学校の非常勤で勤務されている看護師さんの方々に、人工呼吸器と排痰補助装置についての講義を1時間させていただきました。質問のレベルが高かったのが印象的で、ちょっと持ち時間をオーバーしてしまいました。笑
人工呼吸器管理は装着者にとって生活の一部でもある
急性期で人工呼吸器を使用する場合、その目的は、
肺の保護と早期の離脱です。
しかし、慢性期に人工呼吸器を必要とする場合に、
装着者としては生活の中の一部となります。
適切に呼吸することだけでなく、
半年、一年後その先も続くことを前提に、
現実性、安全性、ご本人やご家族や周囲の方々の価値観などを総合的に考慮された上で、人工呼吸器の設定や呼吸回路の構成も選択されます。
理解と納得の上で、
出来ることや、やりたい事を選択してゆく。
一緒に考えてゆくこと。
これが、お互いに求められています。
特別支援学校において、今後の基準をつくる上で要になるのは、
私的な意見ですが、
① 教職員の方々が特定行為として出来ることを1つずつ増やしてゆくことと、
② 人工呼吸器療法を学んだ看護師さんのサポートを強くしてゆくことかと思います。
専門的であっても、手技そのものは難しくないこと、
このタイプの知識を理解いただいた上で、特定行為として、
非医療従事者の教職員の方々にもできることを増やしてゆくことが1つ。
これがベースのアップです。
もう1つが人工呼吸器管理に長けた看護師さんに勤務していただくこと。
元々経験あって人工呼吸器が得意な人を採用することももちろん素晴らしいですが、
すでに勤務されている方々が、人工呼吸器管理に精通していくようにサポートする取り組みが大事ですね。
臨床工学技士のような他の職種から話を聞く機会を設けたり、
同じ特別支援学校で勤務する看護師さんの講義や意見交換会など、
すでに行われていることだと思いますが、
広域に容易に参加できることや、
一般の方々に向けた講演会なども様々な場面で開催されると、
理解と納得が深まります。

実際に仕事や生活を通して人工呼吸器を使用している人たちと接している方々だけでなく、一般に接することが日常的でない方々の持つ情報が良質で常識となることが望まれると思います。私も微力ながら、私に出来る事を増やしてゆきたいと思っています。
まとめ

✔慢性的に人工呼吸療法が必要な児は、学校に通うことと同じように人工呼吸器装着は生活の一部である。
I appreciate your reading the article all the way through.