超訳 人工呼吸器

ネーザルハイフローと新型コロナ治療【HFNCvsCOVID-19】

HFNCvsCOVID-19

ネーザルハイフローは、呼吸不全に対しての治療でNIVの前に検討される治療法だ。通常の酸素マスクより高濃度の酸素を投与できるので、酸素化の維持が効果として挙げられる。

高い流量、速く勢いよく酸素を流すことで、肺内のいわゆる死腔という部分にたまった二酸化炭素を洗い流す効果もあるといわれる。

これは、二酸化炭素の排出を目的として装着することは期待し過ぎであり、その場合はNIVを開始するのが適切だ。つまりは、換気はできない。圧力をかけられない。よって、PEEPという持続的な圧力もかけられない。口を閉じたときには7cmH2O以下程度でかかるとはいわれている。

新型コロナの治療において、重症化している場合は挿管してARDSで行うような肺保護戦略がとられる。軽度であれば、軽度のARDSの治療と同じようにして治療されてきたが、NIVより明らかにエアロゾル散布が懸念されて、第一波の頃には使用が控えられてきた。

2020年の年末になると、むしろNIVより積極的に利用できそうだというエビデンスが出た。ネーザルカニューラの上にサージカルマスクをつけるとエアロゾル散布を大幅に抑制することができたという内容だ。

NIVでは潜在的なリークがあり、サージカルマスクをNIVマスクの上から付けるのは困難だ。よって、早期にHFNCを開始することで気管挿管を回避できることと、医療者への感染リスクの軽減が期待され、NIVより有利な可能性があり、使用頻度が上がった。

新型コロナ治療のHFNCと酸素マスクと比較した研究では、有意に気管挿管の頻度は34.3%と51.0%、28日以内での回復日数は11日と14日低下させ、有効性が示されている。

ただし、デメリットは、大量に酸素を消費することだ。酸素消費の費用は病院の持ち出しになる。病棟によっては、酸素配管の数や使用流量に上限があるため、無尽蔵に使えるわけではない。

病院によっては、ネーザルハイフローの機械を使用するのではなく、人工呼吸器を使ってHFNCを行っているところもあると思う。メリットは、病態が進行したときに機械を別に用意することなく設定変更で対応できるという点、あとは診療報酬を人工呼吸療法で算出する点だ。この辺りは未だグレーゾーンになっている。

参考資料:3学会合同呼吸療法認定士「認定更新のためのテキスト」, 藤野裕士「人工呼吸療法-NPPVを中心に」

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藤野先生曰く「厚労省によると日本国内の酸素の生産量自体は十分なはず。ただ、各医療施設に運搬することや各施設の容量は不確かである。上手く酸素を使うことができれば、上手くHFNCを使える」とのこと。

  • この記事を書いた人

ユウ

人工呼吸管理が好きな臨床工学技士(ME; CE)。十数年の職務経験で、民間病院から県立、国立病院機構の急性期から慢性期医療に従事。東日本大震災の衝撃から一念発起し、米国呼吸療法士プログラムの受けるべく留学するも資金繰りに失敗して途中帰国。でも求めた知識より一緒に過ごしたグローバルかつ多職種の友達が何よりの誇り。趣味は写真。マイブームは禅。医療・健康など少しでも役に立つ発信を心掛けます。よろしくお願いいたします。

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