段ボールの中に保管されていた書類の山から、私はCEIAの取説を発見した。
興奮で手が震えたのは人生で初めてかもしれない。ファイルを開くと更に衝撃が走った。内容は、モバイル版のCEIAの取説だった。
「モバイルだと!?」と心の声がつい独り言になった。
それはもうジョジョの奇妙な冒険の定番のセリフ「何ぃーーー!!!」くらいのテンションで笑。
モバイル版の取説があるということは、CEIAが導入されていたとしたら管理用のPCだけでなく、PDAかタブレットもあるはずだ。さすがに管理用のPCと貸出返却用タッチパネルモニターくらいかと思っていた。もちろん、バーコード発行のプリンターはあるかもしれないが。モバイル版も導入した可能性が出てきたのは予想外だ。
モバイル版というのは、点検者が主に使用中の医療機器を点検するために利用される。医療現場で点検者といったら、臨床工学技士だ。臨床工学技士が在籍していなかった施設にモバイル版を導入して、どう運用するつもりだったのだろうか。
いや、上手く運用できなかったから、いま現在使われていないのではないか。ということは、より可能性は高まってきた。導入自体はしているかもしれない。改めて、事務管理課に問い合わせた。医療機器管理システムCEIAを購入した実績がないのかを。同時に、日本光電にも実績がないか問い合わせた。
実績の記録があったか、なかったかは少々グレーゾーンと思われるので、ご想像にお任せする。結果としては、私の期待は見事に裏切られた。しかし、某担当者は調査を続けてくれた。そのおかげで、導入されたとしたら、おそらくその頃だろうという当時を知る人の話を聞くことができた。
「たしかにCEIAを販売した。」と証言した。
活路が見えた。あることがわかったならPCを探すしかない。心当たりがないかを聞いて回った。
「PCが保管されているとしたらどこなのか」
「PCがあったはずだが見たことはないか」
一体私は何をしているのだろう、これも臨床工学技士の仕事なのか、こんなことをせず患者にもとに行くべきじゃないか、いやシステムが見つかれば今後もっと効率が上がって、一人でもきっとやれることがたくさんできるようになると信じて聞いて回った。
そして歯車を一気に好転させた証言にたどり着いた。
「たしか、ここに1台パソコンがあったはずだけど、1年くらい前に撤去された気がする。」
こころ半ば、捨てられてしまったかもしれないと諦めかけていたが、1年くらい前にあったものなら、まだどこかにある望みは高い。ITに強い担当者に声をかけた。探してくれとまでは言わなかったが、そのシステムを定価で買うとかなりの額である具体的な数字を伝えた。
数時間後、私のPHSが鳴った。番号表示はIT担当者だった。電話に出ると、告げられた言葉に私は今年一番の歓喜の声を上げた。
「医療機器管理システム、見つかりましたよ。」
やれやれ、なぜ倉庫に眠らせてしまったのだろう。有用なものをなぜ使わないんだ。謎はまだ残っているし、管理用のパソコンだけではないはずだ。タブレットもきっとある。プリンターも通常は同時に専用のものを購入する。しかし、今は満足しよう。すると、私は電話口で返答していた。
「●●さん、あなたは名探偵だ。」
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物語はまだ続く。きっと。