「帆花」という映画が2022年1月2日から公開されている。ドキュメンタリー映画で、おそらく医療的ケア児の物語だ。公式ホームページの写真には気管切開して人工呼吸器の回路がつながってる姿が映っている。
映画というのが少し不思議な感覚だ。医療的ケアが必要な子はたくさん接してきたし、そのご家族ともたくさん話してきた。しかし、医療者の私だって慢性期の人工呼吸管理の仕事をしてこなかったら知らない世界だったかもしれない。振り返れば、学生だった頃に人工呼吸器といえばICUだ。集中治療の領域で活躍する機械だ。
発想すればわかったかもしれないけれど、病院見学で筋ジス患者さんや重症心身障害児の方々を見たときには驚いた。臨床工学技士としてまだまだやれることがあるのか、と思い踏み入れた世界は、世間一般の多くの人にとってもまだ知らないことの多い世界だと思った。
厚生労働省の2018年人口動態統計によると、19歳以下の小児の年間死亡者数は約4,400人である。病気で亡くなるケースは年々低下しており、未熟児の出生率は年々増えている。新生児の死亡率は0.9%ほど。この数字は、日本が世界で最も低い。
一方で、継続的な医療の支えが必要になる子どもが増えることになった。脳性麻痺や低酸素脳症など、定義として重症心身障害児(者)と呼ばれる。近年では「医療的ケア児」という表現が使われるようになった。2016年の厚生労働省の調べによると、19歳以下の医療的ケア児が約2万人、うち人工呼吸器をつけている子が約4,000人とのことだ。
人工呼吸器がより高度に小型化されるのは間違いない。そこで臨床工学技士が在宅医療にもっと参入する需要がこれまで以上に上がることが予想される。医師が治療を看護師や臨床工学技士が安全性を確保するというサポートが急性期より慢性期の方がよりその役割を担っている。
厚生労働省の通達により臨床工学技士法の改正より以前から、生命維持装置だけでなく在宅を含めた医療機器の管理を業とするよう役割を担ってきた。年々、徐々に在宅医療のセミナーが増えてきて、興味関心も高まっている温度感も感じる。
日本全国でどのくらい在宅を訪問している臨床工学技士がいるだろうか。セミナーの講師によく登壇している何人かしか知らないな。今のところ透析と循環器の人口が圧倒的に多いだろうな。「エクモの点検する仕事」として少し臨床工学技士の知名度が上がったしな。
今日もユウブログに来ていただき、ありがとうございます。
でも、おそらく未だに臨床工学技士という職種を知らない医療者もたくさんいるだろうな。