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臨床工学技士の業務は変わる【近未来予測】

エッセイの呼吸38

臨床工学技士は、高度化する医療機器をメンテナンスすることと、医師の治療方針に沿って操作すること仕事だ。もともとは医師が人工心肺装置を操作していたところから、高度な知識と技術を要することから派生して生まれた職業といわれている。時代のニーズの流れの中で生まれた職業だ。

そんな医療機器の数々。病院内に限らず在宅でも広く使われ出し、厚生労働省からの通達からも、臨床工学技士の担う役割として、院外の医療機器の管理も求められてきた。ただ、その一方で、私は医療機器の性能がより高性能化したと感じている。

昨今のスマホに似ている気がする。ふだん生活する上で必要な機能はハイエンドでなくとも十分使える。かつメーカーによっての差も特に気にならない。差別化を図って違いはあるものの、基本性能で困ることは少なくなった。

壊れたら修理というより買い替える。そもそも新しい機種が出たらその都度買い変えるか、壊れるまで使うという二手に分かれる気がする。最初は使いこなせないことがあっても、使い方を誤ってミスることもそんなにないし、使う中で覚えていく。

医療機器にもそれに使いことが出てきている。まだまだ型の古い機種を使用しているから、日々のメンテナンスでパフォーマンスを保つという業務や機器についての教育研修が必要だし意義のある仕事だと思う。

でも、やらなくて済む仕事が増えていくと思う。機械の性能がよくなり、そんなに壊れなくなったり、高度になったことで不具合を現場では修理できないものが増えていくと思う。現にメーカーがメンテナンス講習を開催せずにパーツ販売もしない機種も出てきている。レンタルして交換する作業になってくる。

医師の治療方針に沿った高度な生命維持管理装置の操作という臨床業務においても、ハイエンドな医療機器なら、オートモードで十分という機械がある。人間がマニュアル操作するより、機械が判断してオートに作動する方が正確になってきている。

これからは、医師とのタスクシェアリング・タスクシフティングの推進もあって、より臨床に踏み込んだ業務が中心になっていくと思う。デバイスだけでなく医用材料の選択にも知見を広げる必要があるだろうし、内視鏡など高価な医療機器の管理込みの臨床業務など拡大してゆくのだと思う。

そうやって時代の変化とともに、役割が変わってゆくのだと思う。そうなると、私的には職業としての魅力にさみしさを少し感じる。

今日もユウブログに来ていただき、ありがとうございます。
私自身も変わってゆくということで。

  • この記事を書いた人

ユウ

人工呼吸管理が好きな臨床工学技士(ME; CE)。十数年の職務経験で、民間病院から県立、国立病院機構の急性期から慢性期医療に従事。東日本大震災の衝撃から一念発起し、米国呼吸療法士プログラムの受けるべく留学するも資金繰りに失敗して途中帰国。でも求めた知識より一緒に過ごしたグローバルかつ多職種の友達が何よりの誇り。趣味は写真。マイブームは禅。医療・健康など少しでも役に立つ発信を心掛けます。よろしくお願いいたします。

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