臨床工学技士は、大学病院のような病床数が多く、多科の診療をしている病院を除き、多くは医師のように専門の診療科にわかれているわけではない。あれもこれもやる何でも屋さんになりがちでもある。
臨床工学技士法の改正もあり、業務範囲も拡大している。これまで透析しか業務として行ってこなかった技士も今日では業務が増えていることが予想されるし、反対に内視鏡検査分野では、今後専従で業務する技士も増えてくるだろう。
人工呼吸器の分野では、慢性疾患罹患者の増加や機器の技術向上に伴い、急性期でしか携ってこなかった技士の流入は起こり得る。各病院や施設単位だけでなく、個人単位でも業務経験の分野に幅が出てくる。今現在でもかなり多様となっている。経営や医療安全業務に専従で、今は臨床業務を行っていない技士も少なくない。
臨床工学技士とは何をする職業なのか、各技士で回答は多様となり、そのすべてが正しいと思う。しかし、変わりない定義は「生命維持管理装置の操作及び保守管理を業とする者」であることだ。そこから解釈を拡げて活躍の場が広がってきたということだ。
私の今の職場は、臨床工学技士は私1人だ。臨床的な「操作」する業務だけでなく、工学的な「保守管理(点検)」の業務も行うのが私の職務だと考えている。人工呼吸器が稼働しているなら、フローアナライザーは必要ではないか。
商売道具にはお金をかける。仕事では定石だと思っている。そう、フローアナライザーは安くない。人工呼吸管理の安全性を保つ一役買うのが安いわけない。病院施設の財布事情にもよるが、
それをどこまで理解してもらえるかがポイントだ。
臨床工学技士を理解し、必需品だと解釈されたなら何ら支障なく買えるだろう。そうではなく投資するという発想なら、じゃあどのくらいの期間で回収できるかが問われるだろう。それは少々厳しい。点検をどれだけの数上げても収益は上がらない。それこそ職種として理学療法士や作業療法士のように時間単位で利益を上げる仕事ではない。
お金に着目すると、臨床工学技士は利益を上げることより経費を削減する方向の職業だ。仕事の本質が「適正を図る」ことに尽きると私は思う。
「生命維持管理装置の操作」とは、患者の状態を医師が診察し、どんな方法でどのように快方に向かわせるかを処方するとき、医療機器が選択肢に挙がり、その設定が医師の意図に沿うように、診療支援をするということだ。
人工呼吸管理においては、自発呼吸がないのにCPAPモードを設定するのは適正といえない。設定は考え方次第なので間違いなどはない。常に、変化する患者状態に合わせて、適正を更新していくことが求められる。
「生命維持管理装置の保守管理」は、使用される医療機器が本来のパフォーマンスを発揮するのかを使用前や使用中、使用後に点検することだ。ここでは管理という意味は置いておくが、点検とは、そもそも医療機器本体が適正な状態であるのかチェックすることだ。
メーカー許可の範囲であるが、医療現場で修理できる機器もあり、異常状態を回復して機器のパフォーマンスを保つことも行う。一見すると機器本体の異常に見えて周辺消耗品に起因することもある。工学的な見地から判断し、適正を図る。
医療機器における「適正を図る」仕事をする職業が、臨床工学技士だ。さて、当施設においてフローアナライザーが本当に必要だろうか、どう解釈するか。人員の増員する過程には必要になってくるだろう。そこを天秤にかけて上層部に判断してもらうこととしよう。
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何事もバランスが大事。