神経・筋疾患や脳性麻痺など重症心身障害は呼吸障害を合併しやすいため、呼吸理学療法により肺のケアが重要だ。近年では慢性期だけでなく、方法によっては在宅や急性期の場面でも利用されるものがある。成人だけでなく小児においても用いられる器具が増えてきた。
RTXレスピレータは、陰陽圧式の人工呼吸器だ。人工呼吸器だが、肺痰補助としても多く利用される。キュイラスという亀の甲羅のような形をした器具を胸腹部に当てて、機械制御で陰圧と陽圧を加える。現在主流の陽圧式の人工呼吸器ではなく、鉄の肺と呼ばれた元祖の人工呼吸器の簡易版という感じだ。
鉄の肺といえば、CE野口企画の野口さんが鉄の肺を体験してみたという動画がYouTubeでバズっていたけど、削除されてるな笑。私は実物を見たことはあるけれど、体験してみたことはないから興味ある。
RTXは商品名ではあるが、同じ原理で他の機種がないので誰もがそう呼んでいると思う。人の通常の自然呼吸は陰圧で呼吸しているので、上手く施行できれば生理的な呼吸に近くて侵襲性も低く、目立った合併症もなくて良い。最近また注目されているのか、研究の伸びしろがあるためか、意外と日本呼吸器学会での演題数が多かったりする。数年前は1セクションすべてRTXだった。
病院によってはルーティンで行っており、毎日一日2回スタッフが病院中を施行して回っているところもあるらしい。キュイラスと身体との間のリークを少なくして、きちんと施行できれば合併症が少なく、やらないよりやった方がいい治療になる。ただ、期待以上の効果がみられたという施設の方が圧倒していた印象だ。
それでもまだまだ研究の余地があって、換気設定については比較検討があまりなく、王道の質問が設定に集中していた。エビデンス的にも明確なものがなく、基本的にはデフォルト設定にセット数を調整して行う感じだ。
個人的には、臨床工学技士の立場として、換気設定に興味があって知りたいポイントだったので、自分で調べるしかないなと思い、チャンスがあればやろうと思いはしたものの、そしてやってみたりはしたものの、結果どう評価していいかわからないというままになったことがあった。
いずれにしても、キュイラスの大きさは小児のサイズもあり、急性期でもNIVと比べれば嫌がったりすることも少ないので積極的にできる呼吸補助として使われる。私も実際にキュイラスをつけてやってみたことがあるが、けっこう気持ちいい。
論文化されているか調べていないが、知り合いの施設では伏臥位にして背中にキュイラスをつけて肺痰補助することもある。効果のほどは個人差があるのかもしれない。
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呼吸理学療法も面白いな。