それでもアラームは鳴り止まないのであれば、設定の変更も視野に入れる。インテンショナルリーク(必要なリーク)を決めるのはEPAPである書かれている参考書があるが、これは機種により異なる。
たしかフィリップスのトリロジーやチェストのVivoはIPAPであったと記憶している。ちょっとここは一度主流の機種すべてを確認したいところであるが、いずれにしてもIPAPとEPAPの圧設定の調整を検討してもよい。
それでもリークアラームが鳴ってしまう場合、アラーム設定を検討してもよい。もちろん換気量が確保されていて安全が担保されてからだが、患者状態上他に検討の余地がないときにリーク量の許容を決める設定があるので、回路が外れた場合の量を調べて鳴るかを確認した後に微調整する方法もある。
実際にはアラーム設定まで調整するのは神経・筋疾患など慢性期における場合が多い。急性期用のNPPV専用機のV60ならば、リークに対しての追従性が良いのであまり気にするところではない。むしろ調整できなかったはずだ。
慢性期におけるファースト選択のマスクは、鼻だけを覆うネーザルマスクになる。口も覆われると会話や食事ができないので生活の質QOLが下がる。また、鼻呼吸は鼻腔における生理的な加湿を経由するので、乾燥において口呼吸より有利だ。
高齢になると口呼吸が増えがちで、高齢者のNPPV導入時にはネーザルマスクではリーク過多となり回路外れアラームが鳴ってしまい上手くいかないことがある。しかし、まずは鼻で呼吸する練習をすることを進めるのが吉だ。慣れればできることを、一度フルフェイスマスクに順応すると二度とネーザルマスクには戻れない。かつ、医師の治療方針によるが慢性期(Ⅱ型呼吸不全)においてのNPPV導入では、すぐにSpO2値を上げる必要はないと判断する。もちろん、その時の患者さんの進行状態によるので、臨床工学技士の立場として医師とのコミュニケーションを取った上でのペースは求められる。
人工呼吸器の開発・発展とともにNPPVマスクもいろんな種類のものが作られてきた。日本の最大の難点は、日本のメーカーが製造していないところで、マスクにおいては日本人の顔に合ったものがないということだ。また、疾患により変形に対応したものがない。既製品の中から合うものを探して試すしかない。だからこそ、今に満足せず新しいものが発売されたら試してみるということが勝機である。
未来が暗いわけではない。携帯電話によって外出時の腕時計が要らなくなった。スマホの普及によってパソコンやテレビ、銀行だって必要ないという人はいる。新しい技術が思いもよらない影響を生むことがある。そしてそれは後には戻らない。
今日もユウブログに来ていただき、ありがとうございます。
3DプリンターでオーダーメードNPPVマスクが作れる未来はそう遠くないと思う。選ぶから作るへ。